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泣きたい程辛い事もあった。
けれど、それくらいで泣くなとナミは言った。
それくらいで泣いていたら、後がもたないって。
それを意識するようになってから、三年間……
本当に、三年間よ。その間に色んな事はあったけど。
「おい、怪物がまた来たぞ!」
「違うだろ! 妖怪だろ!」
「それ、どっちも変わんねーし!」
「それもそっか! ハハハハ!」
「るせぇんだよ……」
「はっ?」
下唇を噛み締めながらプルプル震える私に、男子はバカにするかのように耳を傾けてきた。私は、ソイツらにビシッと指を向ける。
「るせぇんだよっ!! 次、妖怪とか言ってみろ!只じゃおかねーからな!! グズ!!」
「はぁ!? 生意気なんだよ! ……ぐっ!」
殴りかかってくる男子を次々と蹴り……殴り、自分で全部撃退した。誰も助けてくれないなら、自分で強くならなきゃ。だけど、独りじゃ強くなれない……なれないのよ?ケイ。
「良かったな、撃退出来たじゃねーか♪」
見守って、認めてくれる人がいるから。
話を、聞いてくれる人がいるから。
誰も、独りじゃ強くなれないの。
だから、独りの人間はいない。
それは、先に言った言葉に意味が隠されている。
私の妹なら、分かるわよね?
「唯先輩っ! 今の見ていました!」
「これから、姐さんと呼んで良いですか!?」
「もうっ……仕方ないわね……でも、皆まずは自分で強くなりたいって意思を固めるのよ。そして、一生忘れないでいなさい?良いわね?」
「「はいっ!! 姐さんっ!」」
―――……
後輩にそう言われて、私には“姐さん”と言う異名が誕生した。レキちゃん達程じゃ、ないかしらね?
でも、皆自分の努力次第で強くなれるの。
「じゃあ、せっかくだから皆で食事に行きましょう♪勿論、私の奢りで!」
「本当ですか!?」
「姐さん大好きッス!」
「よっ、太っ腹!」
「姉貴………サンキュな」
「どういたしまして♪」
だから、貴女も早く強くなりなさい。
私が助けなくても良いように……ね。
(終わり)
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