少女と少年の出会いは、小学生のときからだった

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「私、リーダーシップのある男の人が好きかな」  と少女はそう言った。大学生になった少年は、リーダーになれる器の大きな人間になりたいよね、と答えた。  そして少年は様々な場面で積極的に行動した。  同じ大学へ入った男友達を引き連れて、サークルやゼミ活動で意欲的に発言し、また集団行動ではみんなの先頭に立って行動した。  また旗頭として行動するだけでなく、みんなの意見を取り入れることが大事だと思った少年は、悩みがある人間はそれとなく食事に誘って愚痴を聞いたり、作業が遅れているとこをすぐに見つけてはそれを手伝った。  そのうち誰もが少年を頼るようになった。  少年はみんなの期待を全部応えるだけでなく、奇抜で面白い発想をいくつも提案してそれを実行し、みんなを楽しませた。  少年の先輩は「お前が入学してから大学が楽しい」と言われ、後輩からは「先輩がいるここに入学できてよかった」と喜ばれた。  同年代では嫉妬する者も少なからずいたが、大半は少年がいれば何が起きても大丈夫だと太鼓判を押していた。その中にはあの少女もいた。  少年はみんなの先頭に立って、やる気に満ち溢れていた。
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