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秋の、ある日の午後のこと……
S市のE町という、のどかな街の小高い岡に、K高校はあった。
数年前に出来たばかりの、感じのいい高校だった。
その3年A組の教室には、放課後ということで、一組の男女だけがいた。
セミロングっぽいブラウンの髪のタツヤと、ストレートでロングな髪のミカコだ。
タツヤはミカコより数センチ背が高かった。
そして二人共、スカイブルーの制服姿だった。
「タツヤ、話って何?」
「あ……その……ごめんな、ミカコ……」
ミカコは近くの椅子に座り、
「何のこと? いったい……」
タツヤも椅子に座り、
「突然で悪いんだけど……実はオレ……未来から来たんだ……」
するとミカコは笑いだし、
「何よ、それ。時をかける何とかの少年判のつもり?」
「やっぱり、そうきたか……」
「じゃ私は、こう言えばいいんでしょ。いいのよタツヤ、あなたが未来人でも、私の気持ちは変わらないわ……てね」
そして、また笑った。
「あっちはSFだろ。こっちはマジなんだけど……。やっぱりここじゃダメだな……。上手く言えないよ……」
「じゃ他へ行きましょう」
二人は立つと、K高校を後にした。
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