先に…ごめんなさい

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二人は、十分ほどのところにあるS駅の方へ向った。 二人の間には、なんとなく気まずい空気があった。 だからなのか二人共、口をきかなかった。 そんな二人の様子に気付いたのか、何人かの人が二人の顔を見詰めていた。 二人共、行き先は決まっていた。 二人は良く行く、S駅前のカフェに入った。 『シュール』というカフェで、店内の壁にはマグリットやダリの作品のレプリカが並んでいる。 時間帯が中途半端のせいか、客はまばらだった。 二人共、同じものをオーダーした。 S駅前の人の流れも、中途半端だった。 やがて二人の前にコーヒーが届いても、店内に流れる音楽を聴くように、だまっていた。  
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