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「付き合ってください!」
「ごめんなさい…」
「え…」
俺は勇気を振り絞って咲樹に告白したが、見事にフラれた。しかも泣かれながら。
嫌いな男子から告白なんてされたら、誰だって泣きたくなるよな。
そう自分に言い聞かせながら俺は教室に戻る。
それから、約一ヶ月が過ぎた頃だった。
咲樹が、パタリと学校に来なくなったのだ。
その時初めて知ったが、どうやら彼女は持病を患っていて、それで入院したらしい。
その日の帰り道、俺の家の前に見知らぬ車が止まっていた。
俺は見知らぬ車を素通りして家の門に手を伸ばしたときだった。
「もしかして、雅樹くん?」
俺の後ろから聞き覚えのない声がした。しかも俺の名前を呼んでいる。
俺は聞き覚えのない声の主の方を向き、そうですと一言答えた。
「良かった!私は、貴方のクラスメートの咲樹の母です」
そう言われると、何となく似ている気がする。
「それで、今から病院に来てくれない?なるべくなら急いでくれる?」
そう言われて、俺はその車に乗った。
車の中で聞いたが、どうやら俺の母さんと咲樹のお母さんは高校からの付き合いらしい。
車を駐車場に止め、降りようとしたときだった。
咲樹のお母さんの携帯が鳴る。
咲樹のお母さんの表情はみるみる内に焦っていく。
咲樹のお母さんは電話を切り、走って病院の入り口まで行き、素早く受付を済ませはや歩きで咲樹の病室まで行く。
何があったのかよくわからず、俺は咲樹の病室まで来た。
「…!?」
まず病室に入って目についたのは、咲樹が危篤状態にあったこと。
「さ、咲樹さん!」
俺に気づいた咲樹は、こっちを向いて何故か笑顔を見せた。
駆け寄った俺に、咲樹は貧弱な声で。
「ごめんなさい…私も好きだったよ…」
その瞬間、心電図が平らになった。
「嘘…だろ…」
俺は泣き崩れた。
しばらくして、咲樹のお母さんが日記を持ってきた。
どうやら俺に渡す予定だったらしい。
俺はその日記に目を通す。
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