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私は意を決して思い切りドアを蹴破ると、「わあああ!」とあらん限りの大声をあげた。
まさか住人がいるとは思っていなかったろう。
それにドアを蹴破って絶叫しながら誰かが現れれば、たとえ気の強い人物でもビビらないはずがない。
案の定、泥棒は飛び跳ねるように驚いて、窓から慌てて逃げて行った。
私はそんな泥棒を見送り、しばらく待ってから警察へ通報する。
そして、駆けつけた警察官に告げた。
「驚きましたよ。トイレに入っていたら、ドア越しに人の気配を感じたんです。向こうもかなり驚いていたので、空き巣のつもりだったんでしょう」
「犯人が何もせずに逃げていったのは不幸中の幸いですね。凶悪犯なら、あなたの身も危険だったかもしれません」
「ええ、そうですね。しかし、部屋がこの有様では素直に喜べませんよ」
「だいぶ荒らされているようですが、被害状況について確認させてください。泥棒による被害は基本的に火災保険がおりますからね」
警察官に促され、私はひとつずつ指を差しながら説明する。
「盗まれたものはないようですが、物色するのにだいぶ部屋を散らかされました。それから、このトイレのドアを見てください。私も気が動転していまして、慌てて飛び出したら、こんなひどい状態に……。これも全てあの泥棒のせいですよ」
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