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「ああ、とんでもないことになった……」
私は狭い密室の中で頭を抱えていた。
現在、大変な窮地に陥っている。
ほとんど身動きがとれない状態であるし、他者からの援助も期待できない状態にあった。
身動きがとれない、というのは比喩表現ではない。
文字通り、狭い密室の中で身動きがとれなくなっていた。
要するに、閉じ込められてしまったのだ。
ここは賃貸アパートの自室、そのトイレの中……。
ここ最近、確かにドアの不調は感じていた。
動きが滑らかではなかったし、やたら軋んでいたようにも思う。
しかし、まさか閉じ込められることになろうとは、思ってもみなかった。
何だ、そんなことか、と思う者もいるかもしれない。
しかし、よく考えてみてほしい。
まず、私は一人暮らしで、なおかつ手元には携帯電話等の外部との連絡手段がない。
そして、トイレに窓は無く、外壁に面した間取りでもない。
壁は決して厚くないが、ここはアパート一階の角部屋である。
隣は空き家ではないが、住人は昼間家を空けているし、朝帰りをすることも珍しくない。
そもそも親しい間柄でもなく、頼りにできるような関係にもなかった。
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