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5:逝こうか
なんとなく気持ちがはやって、私は玄関からバス停までの道を走っていた。
図書館で少しだけ。
そう思って調べたスノードロップの花言葉。
「希望」「慰め」「逆境の中の希望」
「恋の最初のまなざし」ーーーー
まだいるはず。あそこにいるはずだから。
古びたトタンの小屋も
道の両脇に茂る雑木林も
交差点の向こう側のバス停が見えない原因が今は凄くもどかしい。
もう鼓動と吐息で音も聞こえないくらいに交差点を走り抜け、走り抜けて彼はそこにーーー
ーーーあぁ、今凄く暖かいものに包まれている。きっとこれはすぐ冷たくなるだろう。
視界の赤色は夕陽にしては赤すぎて、全身を駆け巡る衝撃と痛みの中、私はこれまでの全てを悟った。
(スノードロップの花言葉。焦って続きを読んでなかった。。。)
「さあ、いこうか。」
彼は私の手を引き、ゆっくりとゆくべき場所へ案内していく。
きっと彼は明日も遅刻ギリギリでバスに飛び乗るんだろう。
end
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