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これからどうすればいいというのか。ただただ立ち尽くしてみたものの、変化が一切ない。立ち尽くすのも疲れ、諦めて座り込んで色々考えてみた。やはり仕事に遅刻するかもしれない。とか。こんな夢見るなんて、寝る前に洞窟の場面がある番組でも見ただろうか、など。
そういえば、帰る前に同僚に置き手紙をしていたが、見てくれただろうか。引き継ぎがうまくいってなかったら、どうせ私が怒られるのだ。何かにつけて怒鳴ってくるあの先輩は理不尽の極みである。失敗したら、更に上から責任をかぶせてくる。失敗をしなくとも私の一挙一動が気に食わないらしく、一言罵倒した後に畳み掛けて文句を言う。こちらの話を聞かないのなんて専売特許な奴だ。たまに、違う次元にいるのではないかとさえ思う。対私に限ったことならまだ我慢はできるが、直接話したことのない私の知人に関してまでああだこうだと知った口を利いてくる神経は、もはや閉口せざるを得ない。お前のような奴は云々、その友人もきっと云々などと言われた時、流石に殺意すら覚えたのは誰にも告げていない。代わりに、私は、永劫の呪いをかけてやった。呪術的なものではなく、心の底から純粋にそいつの不幸を祈った。祈り続けている。
こんな子を持った私の親は、大変可哀想だ。私も、このような大人になるとは思わなかったので申し訳なく思うが、幼い頃からおかしな人間に育つ環境に置いていた親にも呪いをかけている。もっと一緒に居てくれて手を繋いでくれたら、住まいを転々としなければ、両親ともに仲良くいてくれたら、家族が欠けても、私に『寂しい』を強要しなければ、こんな人間に育たなかったのでは、と。
こうして他人を呪うのは、自身を呪っているからかもしれない。自分の不幸を心底願っている。そして、他人の永劫の不幸も強く願っている。
夜の空間に閉じこもっていれば。うずくまり呪詛を唱え続けていれば叶うのだろうか。他人の不幸が。己の不幸が。ここで呆け尽くしているうちに剣山が降って来て私が潰されたとしても、夢ならば呪詛を紡ぎ続けられるのだろうか。あいつの不幸をそいつの不幸を唱えて唱えて唱え続けて目が覚めればいつもの日々が始まり――。
うずくまり考え込んだまま、頭を覆って呪いの言葉を唱え続けたところで、変化は全く起こらなかった。やはり、歩を進めなければいけないのだろうか。
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