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「何で!? 確かに3ヶ月も仕事と友達の事で会えなかったのは謝るけど! ずっと連絡は取り合ってたし、電話でも普通だったじゃない…」
僕の声は次第に小さくなっていった…
「ごめんなさい」
彼女は顔を背けた。
つられて僕も窓の外を見る。雨足は強くなり始めていた。
「貴方といるのは楽しいの。でも私も普通の女性よ。キスだってしてないし、会って半年経つのに身体も求めて来ない…。私達は、"恋愛ごっこ"をしてるの?」
暗くなっていく外の景色に反して、明るい店内の照明に照らされた彼女の悲しげな顔は、とても魅力的に見えた。
そして、「私だってピュアな純愛って言う歳でもないし」とつけ加えた。
「そりゃ僕だって男さ。だけどこの半年、手しか繋がなかったのは君を大切に思っているからだよ、本当さ!」
「嘘ね。」
僕に向き直ったその真剣な表情に、ギクリとした。
「ケイコさんの事でしょ…また忘れられないの?」
「う…。」
ケイコとは正に、僕の元カノで、1年前に別れたばかりだった。
「もう貴方とこれ以上"恋愛ごっこ"をしたくないの。本当にごめんなさい…じゃあね。」
そう言って立ち上がると彼女は素早い仕草でバッグを持ち、お会計をテーブルに置いて去っていった。
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