阿月稔と秋月悟

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  『不満が全く無いことはないが、それよりもケルベロスを出すのだから…万が一の時はネビルを破棄するということだろ、できるのか…君に?』 ネビルとは阿月稔のコードネームである 普段は秋月悟の人格で生活していて必要に応じて阿月稔の人格を呼び出していた そう、二重人格である 元々は阿月稔という人格しか無かったが阿月稔は幼くして殺人鬼と化し、人格崩壊しかかっていた そこで秋月薫は阿月稔に秋月悟という新たな人格を形成し自分の子として育ててきたのだ だが、殺人鬼化した阿月稔の人格は驚異的な身体能力を発揮していて秋月薫の探究心が阿月稔という人格を眠らせて置くことが出来なかった そこで阿月稔にはネビルというコードネームを付け人体強化の実験に仕様されていたのだ。 そして、ケルベロスのプロトタイプとしてデータ取りに仕様していた 細長いタバコを大きく吸い、その煙をフーっと吐きながら冷淡な口調で答える 「万が一の時は破棄も致し方ない事です。」 『義理とは言え一応は君の息子なのだろ?』 「それに何か問題があるのですか?」 『いや…君に問題がないのなら構わんよ。わかった、扶桑県警察本部に配備しているケルベロス隊を君の指揮下に入れよう』 「ありがとうございます。それでは私も現場に向かいますのでこれで失礼致します」 電話を切りタバコを一口吸うと、そのタバコを灰皿の上に押し付け火を消す その様子を見ていた綾瀬副所長は尋ねる 「先輩…本当に問題ないのですか?」 ジロリと綾瀬副所長を見ながら立ち上がると少し苛立ちながら答える 「問題ないわけないだろう…」 そう答えた秋月所長を見て綾瀬副所長は思う (あぁ、やっぱり先輩も人の心をもっているんだ…義理とは言え、何年も自分の子供として暮らしてきた悟君を殺したくはないのに…強がっているだけなんだ…) 伏魔殿の様な世界の中枢で生きてきた秋月薫は弱味を見せたくなくて新宮長官には気丈に答えただけで本当は息子を殺したくないのだろうと考えた綾瀬副所長だが…
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