父親・母親役の葛藤 2

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B.A.N.S(これも既記であるが「現状での最先端技術による人工頭脳レベルとその効果」章で述べたブースター・アタッチメント・ネットワーキング・システムス Booster Attachment Networking Systems という高性能人工頭脳ネットワーク)も、当然ながら、姉妹の人間関係には注意をはらっていた。ただ、人間はご周知の通り、予期し得ないことをするものである。この男子中学生2人が姉妹に「ラブレター」を送ることは、B.A.N.Sも予期していなかった。彼等が商店街にあるポストにラブレターを投函する際、宛名面に姉妹の住所や氏名が記載されている様子を近隣防犯カメラが捉え、元々、各区域をチェックしていたB.A.N.Sネットワークのデータベースにヒットし、姉妹の母親役が使用している「ポータブル型B.A.N.Sモニター」に、通知してきた。 【1】以下2066年11月4日 木曜日 午前9時52分 妹 駒元安佐未(武藤安佐未)が暮らす武藤宅での会話(抜粋) 「(武藤敦彦 むとう あつひこ 駒元安佐未の父親役 防衛省 海上自衛隊 3等海尉 潜水艦「ななつのうみ」第3副艦長 以下 父 敦彦)おい、モニターが、なんか光ってるぞ」 「(武藤あゆみ 武藤敦彦 3等海尉 自衛幹部官の妻 防衛省 自衛隊 高度国際間・国内紛争問題研究・解決・処理本部 中央管制隊 妹 駒元安佐未 B.A.N.S解析班々長 以下 母 あゆみ)あぁ、別に、何でもない」 「(父 敦彦)緊急とかじゃないんだ」 「(母 あゆみ)うん、ほっといても大丈夫」 「(父 敦彦)へー、そうなんだ」 「(母 あゆみ)うん」 「(父 敦彦)俺、見てもいい?」 「(母 あゆみ)んー、見ないほうが良いかも」 「(父 敦彦) なんでよー、いいじゃんかぁ」 「(母 あゆみ)好きにすれば」 「(父 敦彦)はいはい、んじゃぁ、お言葉に甘えて、好きに見させて頂きますよ」 「(父 敦彦)・・・」 「(母 あゆみ)だから、言ったじゃない、見ないほうが良いってぇ~、まったくも~」 「(父 敦彦)だ・・・だって、おまえ、こ、これ・・・」 「(母 あゆみ)B.A.N.Sも騒ぎ過ぎ、中学生のかわいい女の子だもん、彼氏のひとりやふたり、いないほうが変」 「(父 敦彦)い、いやぁ、お、俺は、許さないよぉー」 「(母 あゆみ)だから、娘は父親を嫌うのね。ほんっと、よくわかる」 「(父 敦彦)んなこと言ったって、これは、これこそ緊急事態じゃんっ」
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