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父様と母様の急死から一月が経ち、私は風呂敷を抱えて新選組の門の前に立っていた。
この一月、父様と母様のためのお墓や小間物屋として借りていた家の引き取り手を探していて、ようやっと全てのことに一段落がついた。
父様達のお墓は新選組の方々の計らいで壬生寺に設けられることになった。
実家である小間物屋は、あんな事件があったから買取手はなく、結局家を壊して更地になることに決まった。
きっと、1年もしたら新しく家が建つか子供たちの遊び場になっているだろう。
「菜子さん、お待たせしました。
そしてようこそ、新選組へ。」
総司くんが私に声をかけ、さり気なく風呂敷を持ってくれる。
総司くんの隣には、片目が少し隠れている青年が立っている。
年はたぶん総司くんと同じくらいだろうか、それでも表情などからしてだいぶ年上に見える。
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