平凡な僕と屈折した彼女のごめんなさい

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昨日の話の続きと言っているのだから、夢だった訳では無さそうだ。 少しずつ頭が冴えてきても、顔を洗ってみても、僕の頭は混乱したままだった。 彼女が作ってくれた朝食がテーブルに並べられ、まるでいつもの様にいただきますと向かいあって挨拶をした。いつもと違うのは、普段の朝食よりも少し豪華な事位だ。 僕が朝食を黙々と頬張りながら彼女の様子を伺っていると、目があった彼女は張り切り過ぎちゃいましたと照れた様にはにかんで見せた。 もしかして、昨日やっと決心を固めて伝えた僕の言葉は、理解されて居なかったのだろうか。 どう考えてみても、彼女から発せられている空気は甘い物で重さの欠片も無い。 このまま何も無かった事にしてしまえばとも考えたが、あまりの不可解さに黙っては居られなかった。 昨日の話なんだけどと切り出した僕に、彼女は頬を赤らめて私式はベタですが6月が良いですと言った。 僕の頭は一瞬にしてパニックだ。 別れ話がどうしたらそうなるのだ。 目を丸くして口を開け固まってる僕の事などお構い無しに、彼女は思い描くウェディングプランを熱く語っている。 はっと我に返り、思わず僕が昨日言った事解っているか、僕と別れて若社長と付き合って欲しいと言ったんだよと声を荒げてしまった。
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