不良少女

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そうしているうちに夏休みが終わり秋も更け寒くなった それでも学校の後で、休みの日の休憩時間に、時間を見つけてはあの子に会いに行き話をしていた 「行ってきます」 「ちょっと待ちなさい」 家を出ようとしたところで母親が止めた 「なに、母さん」 「今年になってからずいぶん出掛けるようになったじゃない、しかも成績が随分落ちてるって先生に聞いたわよ? 出掛けているせいじゃないの?」 「ちが…」 「違わないでしょう、大学受験があるのに今そんなことでどうするの」 「どうとでも━━」 「どうとでもなると思っているから落ちる一方なのよ 現実をみなさい、将来を見据えなさいそうしなければいけないのよ 本当あなたはあの人に似て人生設計が下手なんだから」 「…わかった」 この人はいつもこうだ、自分が正しく相手の意見を言わさず徹底的に封じ込める、レールの両脇に鉄柵を付け、最後には父親の遺伝のせいにする だから 「今日は出掛けるのやめておくよ」 そして翌日 「行ってきます」 母親がいないうちに出掛けようと玄関に行くと父親がいた 「昨日は出なかったそうだが結局1日だけか あれの説教では効かんようだな お前、大学はどうするつもりだ? 今のペースでやっていくとどこにも入れないのではないか?」 「大丈夫だよ、今行こうとしてるところは模試でも合格圏内だし」 「上を目指そうとはせんのか? やはりお前はあれに似ているな現実主義で現状に満足し向上心がない」 この人は話を聞いてくれるが上を目指せの一点張り そして母親の遺伝の悪いところを言い募る 「うん、ごめん けど無理して行こうとするより余裕があるところでいろんなことをやりたいんだ」 「ならば大学でやることも今のうちにやって余裕を増やしなさい」 「わかった」 この日も出掛けることは叶わずさらに翌日から雨が降り続け出掛けることはできなくて ようやく出掛けられるようになった頃には5日が経っていた
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