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いつもの時間いつもの場所に行くとそこには膝を抱えて不良少女が座っていた
「良かった、来てた」
ビクッとしてから抱えて膝で顔を隠したまま
「なんで来なかったの?」
と聞いてきた
「ごめん、成績が下がってたの親に文句言われちゃって
「…そうだったんですね、私のせいです」
「違う!
俺は来たくてここに来てるし勉強だってしてるのに身に付かない僕が悪いんだ」
ようやく顔をあげたときその目は潤んでいて目の下は腫れていた
「なんでそんな顔をしてるんだよ」
「別に、おじいちゃんが死んじゃってからずっと親にも隠れて旅をしていたから人に旅の話をするのが楽しかった訳じゃないです
先輩がもう来てくれないんじゃないかって泣いてた訳じゃないです
もしかしたら事故とかで死んじゃったんじゃないかって…」
いってる最中に急に立ち上がり抱きついてきた
昔、祖父の友人が車との事故で亡くなりその葬式で1人の女の子を慰めた記憶がある
幼かったから言葉足らずで、けれど一生懸命にやってたら笑ってくれた女の子
その子と目の前にいる後輩の女の子の共通点が赤い瞳、印象的だったはずなのに忘れていた
「大丈夫、僕は生きてるよ
君は葬式の時の女の子だったんだね」
「覚えて、たんですか?」
「ごめんね、今思い出したんだ」
「そっか」
「いいこと、思い付いたんだ」
「急になんですか?」
見上げてくるその赤い瞳に
「しばらく話せなくなるけど…」
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