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「それよりお前達、今日はさっさと家に帰れよ。本当なら、俺はお前らに構ってられるほど暇じゃないんだよ」
「あぁ?どういうこった?」
ジェイコフの顔つきが、少しだけ真面目になる。
もっとも、本人としては最初から真顔のつもりなのかもしれないが。
「すぐそこの森からサルが出てきてな、市民を襲ったんだとよ。指を持っていかれる重傷を負ったヤツも何人かいて、被害の全体像から一匹二匹の仕業じゃない。だが肝心のサルはまだ一匹だって捕まってない」
「サルにビビる俺達じゃねぇんだけどな」
軽口を叩くジャック達にジェイコフをやれやれといった様子だ。
だが、もう一度彼らに向き合い、先程よりも強く言い放つ。
「いいから帰ってくれ!こっちは本気で忙しいんだから!」
ジャックと呼ばれた少年は、少し考える素振りをする。
たかがサルだが、複数となると確かに面倒なことになるだろう。
ジェイコフのような警官に任せておいたら鎮圧までどれほどかかるか分かったものではない。
「……しゃあねぇな。おいお前ら、今日は解散。サルを見かけたらこのデブに教えてやれ」
グループの内部からは不満の声もあがるが、リーダーの決定に真っ向から逆らう者は結局誰も現れなかった。
ジェイコフも一安心したらしく、気を付けろよ、と声をかけてパトカーに戻っていった。
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