第2章
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「あれ? お母さんいたん?」 両親は仕事のはずだ。今日も誰もいないだろう。そう思っていたので、突然現れた母の姿に凄く驚いた。 「二時頃帰ってくるって言ってたし、少しだけ酒井さんにお任せて、抜けだしてきたわ」 「わざわざいいのに」 「お母さんがそうしたかったんや」 そう言って朗らかに微笑むのは、私のお母さんでもあり、実家の隣に立つ祇園の旅館『花蔓』の女将でもある。
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