第2章

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昔の私は今よりもずっと落ち着きがなく、いつも友達と一緒に京都の町を駆け回って遊んでいた。 生まれた時から観光地だったこの町には、子どもが遊ぶ場所が少なかったが、やんちゃな私たちはありとあらゆる場所を遊び場へと変えた。 美しい石畳の上をキックボードで駆け抜けては、怒られた。 山の上にある八坂公園に友達と集まって、わらび餅を食べたり、花火をしたり、友達の恋バナを聞いたり。 時間を忘れて遊んで、帰るのが遅くなっては怒られた。 春には、円山公園の枝垂桜の下でビニールシートを敷いてお花見をした。 途中で友達と一緒にカラオケ大会をして、怒られたっけ。 全部、いい思い出だ。 「女の子やのに、スカート翻して遊びに行って」 「……」 「こんなお転婆な娘をもらってくれるなんて、奏くんには足向けて寝られへんわ」 母はしみじみ言った。 「ほんまに。ええ人見つけてよかったなぁ」 私もそう思う。奏は私にはもったいないほどの人。 「私もほんまにそう思う」 私もしみじみ言う。
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