第2章

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持ってきた荷物の整理を終えた後、私は自室を見渡した。 クローゼットの中には、高校の制服、当時着ていた服、鞄などが入っている。 机の引き出しには、成績表、友達ととった写真、プリクラ、交換した手紙などがある。 そのままもう一度高校生をやり直せるくらい、この部屋には荷物がそろっていた。 大学では落ち着きのある女の子としてデビューするんだと思い、あまり荷物を持っていかなかったんだっけ。 作戦は失敗に終わるのだけれど。 ふふと笑いながら、まだ開けていない下の段の引き出しに手をかける。 そこには、見覚えのある若草色のノートが入っていた。 これは、日記だ。 高校生の私は、日記を書いていた。 飽き性の私が唯一続けられたことは、毎日短い日記を書くことだった。 ペラペラとノートをめくる。高校二年生の夏のページが見えた。
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