第2章-2

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「灯里!」 菜花は私を見つけるなり、声をあげた。 「な、菜花?」 穏やかで優しい菜花らしくない、はっきりとした声の出し方に戸惑っていると、彼女が走って近づいてくる。そしてそのまま、私に抱きついてきた。 「ほんまに灯里や! おかえり!」 「灯里、おかえり」 突然の抱擁に困惑する私に、今度は低い声が届いた。それは静かに微笑みながら歩いてくるもう一人の親友、拓斗の声だった。 私は、菜花に抱きつかれながら、拓斗にニコリと微笑みかける。 拓斗は頷き返してくれた。拓斗の笑顔に安心した私は、菜花の背中に手を回し、ギュッと抱きしめてから言った。 「ただいま!」
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