第2章-2

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それから私たちは久しぶりの再会を楽しんだ。 久しぶりだというのに、これほど近くに互いを感じるのは、幼なじみの特権だと私は思う。 「仕事、しんどい?」 菜花の目の下にクマが見えた気がして、彼女の目元に指で触れてそう言うと、菜花が微笑み返してくれる。 「ううん。仕事は楽しいで」 菜花は今、美容師として働いている。 祇園のお姉さんの髪を結うことが多いと言っていた。 だから、昼と夜が逆転しやすくて「でもさ、やっぱり睡眠不足にはなるな。ほら、にきび」と顎にできた小さなニキビを見せる。 拓斗は塾講師として働いていた。 年の離れた妹が二人もいる拓斗は、昔から子どもが大好きで、世話焼きで、ぶっきらぼうに見えるけれど、本当は優しい性格の持ち主だ。 そんな拓斗だから、生徒に慕われる良い先生なのだろうと思った。
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