462人が本棚に入れています
本棚に追加
私の悪い癖を怒りもせずに聞いてくれる彼、奏はとても優しい。
彼の隣は居心地がいい。
この人を好きになって本当によかった。
「夢のこと」
「夢?」
「最近、よく見るんだよね」
「どんな夢?」
「誰かと何かを話しているの」
「わかりにくいな」
そう言って、彼は綺麗に微笑んだ。
「わかりにくいでしょ?」
「うん。すごく」
「だって、私にもわからないもの」
夢の中で見る世界はいつもリアルで、ここが自分の生きる世界だと信じて疑わないのに、目覚めるとそれは遠い記憶になり、やがて消えていく。
それはどんな夢でも同じだと思うけれど。
だから、気に留めてもいなかった。
夢を覚えていられない、それは普通のことだと思っていた。
最初のコメントを投稿しよう!