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体育館の玄関を出たまでは良かったけど、さて、これからどうしよう。
せっかく天気も良いし、目の前の公園で、これから捨てられるイメージトレーニングしておけば、ちょっとはショックも和らぐかな。
噴水の前に置かれたベンチに腰掛ける。
溜め息、一つ。
ああ、ダメだ。
何も、想像できない。
したくない。
捨てられるシュミレーションなんて、ははは。
ぼんやりと噴水に目をやりながら、無意識に右手が左手に触れた。
?
あれ?
私、今日指輪なんてつけてきたっけ?
指にはまった異物に目を落とす。
……?
……。
……!
もしかして、これ……。
慌てて体育館へ駆け戻る。
だからあの子、婚約したのかと聞いてきたんだ。
どれだけ動揺してたんだろう。
今まで指輪に気付かないなんて。
息を切らしてドアを開けると、彼もまた、息を切らしてそこに居た。
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