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「あ、やと?これって、あの……」
涙が言葉をジャマする。
勘違い?
ただのプレゼント?
「ばか。もっと早く気付けよ。ずっとメールも電話も来ないから、受け取り拒否かと心配したぞ」
普段あまり感情とか見せない礼人が、こんなにも動揺してる。
礼人が人目も憚らずに私の事、抱き締めるなんて。
「弁当、サンキュ。今朝気持ち良さそうに寝てたから、起こすの悪くて。夜中、なかなかベッドに戻ってこなかったから、まさか出ていったのか、とか焦ったんだぞ」
そう言って頬を頭に擦り寄せてくる。
彼じゃ、ないみたいに甘い。
「礼人、ごめん、私、我が儘言って……」
「瑠花が我慢してくれるから、俺も甘えすぎた。ごめんな」
頭を優しく撫でられるだけで、全てのしこりが溶けて無くなる。
「試合、せっかくだから、見ていって。あいつら、お前に会わせろってずっとうるさかったから。さっき質問攻めとか合わなかったか?」
「うん、大丈夫。……あのね、あの子達、どうして私が彼女ってすぐに分かったの?全然そんなこと何も言ってないのに」
「あー、や、それは、まぁ、あれだ」
しどろもどろの言葉に、彼の顔を見上げた。
急に照れながら、目が泳ぐ。
「深く考えるな」
照れを隠すように、私の髪をくしゃくしゃとかき混ぜた。
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