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久し振りの喧嘩だった。
悪いのは、私。
それは分かっている。
それでも素直に謝れないのは、明日が私達の付き合って三年目の記念日だからだ。
その日のデートを楽しみにしていたのは、自分だけだったのかと悔しさが増す。
捨て台詞のように、彼に気持ちをぶつけすぎた。
だから、後ろに寝ている彼も怒ったまま私に背中を向けて寝息をたてている。
彼にはきっと分からない。
私がどれ程、不安かなんて。
女子高の先生というだけで、生徒たちは憧れだって持つだろう。
今年のバレンタインデーにだって、チョコレートを幾つも持ち帰ってきていた。
その中に本命が幾つ有るのかと、彼は本気で考えたこと何てあるのだろうか。
以前、その不安をぶつけたことがあった。
それを彼はあっさりと、ドラマの中の話じゃあるまいし教師と生徒なんてあり得ない、と笑い飛ばした。
そう思っているのは、あなただけ……。
今時の女子高生なんて女の子なんかじゃない。
女、だ。
本気で好きですと詰め寄ってこられても、あなたは笑い飛ばせる自信があるのかと、私はいつも不安でしかなかった。
それを、さっき喧嘩ついでに勢いでぶつけた。
逃げ道も作らせずに責め立てて。
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