エピローグ

2/2
前へ
/22ページ
次へ
「ご婚約、されたんですか?」 自分で発した言葉に、ショックを受けた。 彼女は誤魔化してたけど、それは婚約指輪だと、すぐに分かった。 そっか、先生結婚しちゃうんだ……。 恵美里先輩が彼女に声を掛けるより前から、彼女が先生のスマホの待ち受けの人だとすぐに気が付いた。 先生とは似合わない。 いつも先生のスマホの画面が見える度にそう思っていた。 先生はもっと芯の強そうな人を選ぶと思ってた。 だから、先生が彼女を好きだなんて、想像できない。 「お前ら全国行けたら、俺、プロポーズしようかな」 って、冗談混じりに言ってたけど、決勝もまだなのに、随分なフェイント。 お陰で私、まだ心の準備できてなかった。 失恋の。 これから決勝だっていうのに、どうしてくれるのよ、ばか。 仕方ないから、お祝いに全国行けるよう頑張ってあげる。 だって、どうしようもないじゃない。 お弁当届けたときの、あの顔見ちゃったら。 諦めるしか無いじゃない。 体育館の玄関で人の目も気にしないで抱き合っちゃって、すっかり二人の世界。 先生がそんな事するなんて。 そんな優しい目で、彼女の髪に触れるんだね。 あーあ、私の片想い、想いも伝えずに終わっちゃった。 ……終わっちゃった。 私だって、先生の事、好きだったのに、なぁ。 神様の……ばか。 責任とって、次の恋は、絶対に……両想いにしてよね。                     了
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

321人が本棚に入れています
本棚に追加