のちはいつ

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「あたしが知ってる庄川さんは、いつもこんな感じですけど、……昔の庄川さん、違ったんですか?」  そういえば岩瀬が庄川と初めて会ったのは、ついこの間と言ってもいいくらい、彼らにとっては近い昔。その頃には確かにこの青年は今とまったく寸分たがわぬ調子だったけれど。 「なんやろ、なんか違うんやって。僕ら初めて会ったんっていつやったっけ」 「そんなが覚えとるわけないうぇ。おらっちゃどんだけ長い付き合いや思っとんがけ」  せやんな、と答えはしたけれど。 「あーでもあれや、あの頃っちゃ、まだ松川が神通を名乗っとったいね。まだ神通が、ちっちゃて」 「え、松川さんが神通さんだったんですか? で、神通さん、ちっちゃくって?」 「おいね。今の松川よりずーっとちっちゃかったんぜ。岩瀬よっかずーっと」 「あたしより、ちっちゃい神通さん……」  思い浮かばないのだろう。あの頃の岩瀬も今の岩瀬ではなかったから。 「ほんで庄川は、メガネやった」 「は?」  唐突に松川が挙げた単語。メガネ。  しばしの間、が開いて。 「あーそんこたそんな時期もあったっちゃねぇ」  決まりが悪そうに頭を掻いて、庄川は少し、恥ずかしそう。 「あん頃はまだわしもきかん子やったがいぜ」 「自分で言うかぁ」     
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