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「そうですか、そうですよね。
すみません、疑っちゃたりして」
「いえいえ。
実家とかでは ないんですよね?」
「はい、聞いてみたんですが、
あっ、詰所の会議とか飲み会とかって
今日はないですよね?」
「はい、今日は何も」
「ですよね、陽菜も一緒だし。
すみませんでした小林さん、
もう少し待ってみます」
「きっと大丈夫ですよ、先生。
でもまた何かあったら遠慮なく言って下さいね」
「はい、ありがとうございます。
じゃあまた」
違った。
じゃあ、やっぱり……。
一昨日から芽生え始めていた疑念。
真っ暗な玄関を開けた瞬間に浮かび上がった直観。
「それは絶対に違う」
そう思い込もうと押さえつけてきたものが、
僕の心の中で急激に暴れ始めた。
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