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僕は……。
「あなたは悪くないの、とっても可愛い私の宝物よ」
僕は……。
「ほらほら、手を洗っていらっしゃい。宿題が終わったらおやつをあげるわね」
僕は……。
「あら、おたよりがあったのね……気付かなかったわ。今度からは教えてね」
僕は……。
「もうお腹いっぱいなの? あら、嫌いなニンジン残してる……。カレーじゃなくておいしいニンジンのケーキを焼いてみようかしら」
僕は……。
「どうしたの? あなたはなぁんにも悪くないんだから、泣かなくていいのよ」
僕は……。
「ええ? 今日、先生に……なんて言われたですって?」
僕は、本当に……悪くないの?
頬をひきつらせたお母さんの顔を、涙を拭ってからしっかりと見た僕は、両手を握って息を吸った。
「どうして謝れないんだって、言われたんだよ」
お母さんは今にも泣きそうな顔をして、僕を抱きしめた。ぎゅっと強く、とても暖かいのに……僕は居心地が悪かった。
「先生、きっと勘違いしてるのね。あなたが謝らなきゃならないような事を、するはずがないもの……」
僕の頭を撫でる手が、震えている。
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