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それは、信じられないから。
お母さんは先生の言葉を信じられない。
お母さんは僕の言葉を信じられない。
お母さんは僕が過ちを犯した事を信じられない。
僕は、そっとお母さんから体を離した。
抱きしめられて居心地が悪かったのは、小学生になったのに子どもみたいにぎゅーってされたからじゃなくて。
僕は悪い事をしたのに、悪くないんだと、そんなはずがないと、確かにした事を全て否定されたから。
「だから、僕……謝った」
僕は今日、先生に謝った。
「はじめて、謝った」
僕は今日、友達に謝った。
「もしかしたら間違ってるかもしれない。でも、間違っていたとしてもそれでいい」
僕の思い違いなら、それでいい。
でも今、目の前でお母さんは、僕の言っている事が理解できないと、複雑な顔をしている。
でも、僕は間違っているとは思わないんだ。
そうでしょ、お母さん。
僕は、間違っていない。
僕は悪くない。
「お母さんが、過保護で……ごめんなさい」
僕は悪くないと言い続けたお母さん。
僕は過ちを犯しました。
「僕は悪くないと、謝る事が出来なくて、ごめんなさい」
*end*
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