琥珀・1

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「――起きて、琥珀(こはく)。」 「...ん...」 「琥珀、遅刻するよ。」 「.....はぁい。」 耳に心地良い声に起こされてパカリと目を開けると、美麗な顔がこちらを覗きこんでいた。 ――うわぁお、朝から眼福。 アクアマリンのような瞳に陽光が当たって、キラキラ輝いている。 「おはよう、琥珀。」 「....おはよう、浅葱(あさぎ)。」 目が合うと、アクアマリンがヘニャリと崩れた。 「琥珀、もうすぐ7時半。学校に遅れるよ。」 「だーいじょうぶ! 速攻で支度するから。」 私は勢いよくベッドから起きると、寝室から私室へと飛び込んだ。 クローゼットを開けて、目に入った服を適当にヒョイヒョイと見繕う。 と、後ろから腕が伸びてきた。 「琥珀、そのパンツ履くなら、こっちのブラウスにしなよ。」 パサリとベージュのブラウスが落とされる。 「ん、分かった。」 私は着れれば何でも良い派だけれど、浅葱はコーディネートに気を遣う質(たち)らしい。 浅葱の案を受け容れて今日着る服を決めると、背を押して浅葱を部屋から追い出した。 「え、何で?」 慌てたような表情で浅葱がこちらを見る。 「私着替えるから出てて。」 「着替えるのは分かるけど、何で? ―僕、琥珀の夫だよね?」 ――そう、浅葱・イーストンは私の旦那さまだ。
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