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真顔でそう宣言する彼女。冗談だと思いたいが、大きな瞳は嘘を言ってはいなかった。温もりに溢れていた布団の中に寒気が走る。
「……病気だったっけ?」
彼女が病気だという話は一度も聞いたことがないし、付き合っていてそれを感じたこともない。
「ううん。生きたくないだけ」
「……なにかあった?」
「なにもないよ。ただ、これ以上生きる意味ない気がして」
最早、彼女が何を言っているのか分からなくなってきた。
「生活するために働いていて、ささやかな休日だけが楽しみで、やりたいことがあるわけでもない。最近よく思うの。私、なにやってんだろうなって」
週末は必ずデートしている。その時の彼女は終始楽しそうに見えた。でも、彼女にはそんな虚無感がずっと付きまとっていたのだろうか。楽しいふりをしていたのだろうか。
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