第十二章 グループディスカッション

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ガラス器具の擦れる音や扉の開閉音が聞こえる。研究室は、徐々に賑やかになってきた。 「おはようございまーす」 ひとしのおちゃらけた声が研究室内に響いた。 「おはよう」 僕は返事をする。 「持田、もう実験終わりかけやん!今日なんかあるん?」 ひとしは、驚いたように僕を見た。有機系の研究をしていれば理解してもらえるだろうが、グラムスケールのカラムは、すぐには終わらないのだ。 「まあね。今日は、ST社のグループディスカッションがあるんだ」 「ST社か!俺も受けるから、どうやったか、また教えてくれ」 「おう。もちろん。ひとしは今日何かあるのか?」 ネクタイを締めたひとしを見て、僕は尋ねた。ひとしは、ネクタイの結び目に手を当て、真剣な表情でこちらを見た。
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