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ガラス器具の擦れる音や扉の開閉音が聞こえる。研究室は、徐々に賑やかになってきた。
「おはようございまーす」
ひとしのおちゃらけた声が研究室内に響いた。
「おはよう」
僕は返事をする。
「持田、もう実験終わりかけやん!今日なんかあるん?」
ひとしは、驚いたように僕を見た。有機系の研究をしていれば理解してもらえるだろうが、グラムスケールのカラムは、すぐには終わらないのだ。
「まあね。今日は、ST社のグループディスカッションがあるんだ」
「ST社か!俺も受けるから、どうやったか、また教えてくれ」
「おう。もちろん。ひとしは今日何かあるのか?」
ネクタイを締めたひとしを見て、僕は尋ねた。ひとしは、ネクタイの結び目に手を当て、真剣な表情でこちらを見た。
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