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洗濯機は乾燥機能の無いもので充分だと言い、掃除機もコードレスじゃないタイプの安いものでいいと妥協したその代わりに、冷蔵庫は両開き扉で冷凍庫が広いものをオネダリした。 レンジはあたため機能さえ使えればいいけど、オーブントースターは中が掃除しやすい、これまた庫内の広いものがいいと言ってアレコレと迷って決めた。 テレビやパソコンといった関係の家電製品は彼氏ーー春原駿(すのはらかける)ーーの使っていたものをそのまま部屋に運び入れ、キッチン用品(食器やお鍋など)全般は自炊をしていた私のものを使うことにした。 ダイニングテーブルやベッドは価格を抑え量販店で揃え、その分、思いの外高くて驚いたラグやカーテンに費用を充てた。 洗剤やトイレットペーパーや地域のゴミ袋などの消耗品を納戸にしまいながらニヤニヤと頬が自然と緩む。 私は新しく始まる生活にくすぐったさを感じていた。 駿との同棲に最初は不安しかなかった。 けれど、同棲のルールをてきぱきと決め、引っ越しまでの順序を決め、何度か行くハメになりそうな銀行や役所への手続き等も手際よく出来るように段取りを考える駿のそばで私は、駿くらい少々強引な男性の方が、うじうじと悩み続ける私にぴったりだったのかもしれないとそう思い、流れに身を任せることにした。
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