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駿がいる間は冬馬さんはもちろん来ることはなく、どこかでばったり偶然に会うということもなかった。理子と旅行にでも行っているのと思うほど隣からの生活音はまるで無くて、ちゃんと生き延びているのか気になった。 だけど……。 9月末までまた本社に行ったきりになってしまう駿との貴重な時間を他のことで費やしてしまうなんて勿体無い。 会いたかった人との一分一秒を次に会えるまでの糧にするべく、私は駿とずっとべったりとくっついて過ごした。 私のお盆休みは駿より短く、金曜日に一度出勤になりまた土日が休みだ。オセロみたいに挟まれたら休みになってくれたらいいのに。 「明日休んじゃおっかなー。そしたら駿と一緒にいられるのにな」 つい漏れたダメな大人の欲求に、 「俺、明日戻るよ?」 駿は冷ややかだった。 「え?」 「言ってなかったっけ?土日、向こうで祭りがあるんだよ。それに誘われててさ。貫井さんと草野さん、車椅子でだけどちょっと外出出来るっていうからさー。大の祭り好きなんだよ。ご家族も揃って……」 日曜が向こうへ戻る日だと、休みは10日あるんだと、そう思っていた。 あぁそうか、丸々こっちにいる、とは言ってなかったかも……。 私がちゃんと聞かなかったからなんだろうか。それとも、駿が帰る日を濁していたからなんだろうか。 てきぱきと戻る支度を始める駿を見つめながら、拭おうとして結局拭いきれないままいた違和感に大きくため息を吐いた。
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