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「これでもちょい役くらいなら今でも声かかるんだよ?」 「え!どんな役?何?ドラマ?映画?」 「Vシネ。チンピラ役。すぐ殺されんの」 「ぴったり!」 「ぴったり、じゃねぇわ!」 エンドロールで知っている人の名前が流れるなんて凄いことだ。例えそれが役名のない“チンピラA”でも“通行人B”でも、誇らしいじゃないか。 きっと、理子もこんな気持ちなんだろう。“役者”である彼氏を応援し、「大きな役をもらえるまで頑張ってね」と支えてるんだろう。 「あれ?前に面接に行ってたでしょ?」 「あぁ……知り合いが行くだけでもいいからって。まぁ、オレには向いてないんだよね、パソコンの前に座ってごちゃごちゃとやるのがさ」 申し訳ないくらいイメージが湧かずたまらず吹き出した。 冬馬さんは冬馬さんで、生活面を考え、定職に就くという選択をし面接にまで行ったんだ。だけど、支えてくれる彼女にも応えたいし、自分の野望みたいなものを捨てきれずにいるんじゃないだろうか。だからこそ、「面接に行ったのを黙っていてくれ」と私に頼んだんだろう。 本人の口から聞いたわけでもないしあえて突っ込んで聞くことでもないかなと、飲み終えた缶を片付け始めた。
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