風船

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「私なら…」 「アイさんなら…?」 「私が彼女さんだったら、心配したからかな。」 「心配…ですか?」 「うん。」 「僕の…?」 「もちろん。だって、もし事故にあってたらどうしよう。とか、風邪か何かで寝込んでたら。とか、いろいろ考えちゃうなぁ。」 考えて、考えて、三時間なんて余裕で待っていられる。 「女の子って、面倒くさいものなんだよ。心配しすぎて怒っちゃう。安心して、良かったぁって思ったら、次は連絡しろよ!とかって思っちゃって。」 そ。女の子って面倒くさい。 それでも、相手のことが大事すぎて怒っちゃう女の子は可愛いと私は思う。 「メールするのも、電話するのも、電車の中だったらどうしよう。とか、会社だったら。とか変に考えちゃうの。」 迷惑かな、とか。いっぱい。 「そうやって思ってくれる子、ちゃんと大事にしなよ?って、私が言っても説得力ないね。ごめんね、お節介だね。」 「いえ、ありがとうございます。ちょっと行ってきます!すいません!」 「いらっしゃい。気をつけてね。」 「はい!」 彼は走って行った。 すごい勢いで。 大事にしなきゃ。 私みたいにならないように。ね?
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