風船

6/6
前へ
/75ページ
次へ
ぶわっと、彼の背中を押すような風が吹いた。 「あっ!」 小さな女の子の声が遠くで聞こえる。 「うわぁ…」 思わず私も。 だって 着ぐるみが持っていたはずの風船が、舞い上がってたから。 空いっぱいに、色とりどりの風船が。 赤 青 緑 ピンク 他にもいっぱい。 「ねぇ、ユイトすごいね。って私またか…」 何回すれば気が済むんだろ…。 あなたが隣にいるように感じてしまう、この温かい日差しのせいかな。 立ち並ぶお店一つ一つにある、二人の思い出のせいかな。 まだ 私があなたの隣にいたかったという ワガママのせい、かな…。
/75ページ

最初のコメントを投稿しよう!

26人が本棚に入れています
本棚に追加