幼なじみ 5

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最後に全部員で円陣を組み コウジの掛け声で 「勝つぞ!」 「ウオッス!」 締めて解散 日が傾き始めたグラウンドに 人影はまばらだ ボール一つあれば 大好きなサッカーを楽しめる 仲間に背を向ければ 栄太が立っていた 丸めた卒業証書を二つ 左手に持ち 肩に俺の脱いだ上着をかけて立つ 栄太へと近付いていく 良かった・・・・・・ 制服のボタン 一つも欠けてない 誰にも栄太のボタンを 取られてないことも 「帰ろうか」 待っていてくれたことも嬉しい 「うん」 黒目がちの瞳を細めて 俺の左手を スッと握りしめた栄太と並んで 歩く俺の肩が 栄太の二の腕に触れた ドキドキする 俺の肩を受け止めた硬い弾力と 毎晩のように 触れ合っているのに胸が ときめいてしまう 「明日だな、卒業旅行」 栄太のクラスは全員参加で 一泊二日の旅行へ行く 「断ろうかな、義人と一緒にいる方が俺は楽しい」 俺も 俺も栄太と一緒にいたい だけど 美和と島田に鉄平 あの三人も参加する卒業旅行に 栄太の不在は響く 「・・・・・・バーカ、嬉しいけど明日だけは困る、保先輩の弟に何かあったら先輩に申し訳ない」
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