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『マサから電話? マジ、バカだなアイツ』
呆れたように笑う
でも、笑いの終わりは
ため息のようになっていた
『義人、今から家に行っていいか』
「うん、いいけど」
『チャリ飛ばして五、六分で着くと思う。電話じゃちょっと、上手く伝えられそうにねぇから腰落ち着けて話そうぜ』
食パンを
かじりながらやってきた奏太に
L字型に置いたソファーへ
座るよう勧めてから
小さなテーブルに
紅茶とポテトチップスを置き
俺も
ソファーに腰をおろした
奏太の表情は分からない
キャップが奏太の顔に
影を作るよう目深に被ってるのは
・・・・・・ワザと?
「あんま見るなよ、照れる」
「あ、ごめん」
「いや、別に謝ることじゃねぇけどさ」
ポテトを一枚
かじった奏太が紅茶を飲んで
唇を舌で舐めた
「一昨日くらいかな、マサの奴、俺んとこにも電話してきた。マサだと分かってすぐ切ったせいか、家まで訪ねてきてさ」
話の邪魔をしないよう
静かに頷く
須田は奏太に飛びかかってきた、が
鍛えた体は
体当たりされたくらいでは倒れない
舌を打ち
シャツの裾から
胸元へ手を突っ込もうとしてきた須田の
『何してんだテメェは!』
手を振り払い怒鳴った
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