幼なじみ 1

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シンとした静けさの 漂う教室内に 意識を向ける余裕もなく 自覚のない(あーん)を 要求される前に食う 心に決めて 箸を伸ばし おかずを少しずつ口へ 運んだ 膝に違和感がある 右膝の下が ぷくんと膨らみだしたのは 三日前 足を踏み込むたびに ピーンと 痛みが走るけど 大したことないだろう スポーツバックを肩にかけ サッカー部の 部室へと移動する途中 校門で 待ち伏せてた女に 抱きつかれる栄太を見た 「おー、グラマラス」 「あの胸、あの腰つき、あの色気。どうみても中学生じゃねーな」 「羨ましい。俺もお姉さんの胸をぱふぱふしたい」 誰かの噂話を聞きながら ・・・・・・ふん。 部室へ向かった 「行こうぜ。義人」 先に着替えた奏太が ベンチに座り シューズの紐を結んだ俺に 手を伸ばす 奏太の手がなくても 立てるけど 『ルーティン化しちまったんだ。俺のために一人で立つな』 サッカー部エースの 調子を保つため 奏太の手を 掴もうとした俺より早く 「ダーリン。俺の手も握ってよ」 中腰だったマサピーが ベンチに 腰を下ろしてにかっと笑う
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