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・・・・・・・・・足枷かぁ
一人ならともかく
二人に同じ判断を下されれば
無視はできない
目を閉じて
栄太の笑顔を思い浮かべる
ーーー義人
甘さを含む声で
俺の名を呼ぶ栄太のことが
好きだ
足枷と言われようと
足枷でなかろうと
大切なのは栄太の無事だけ
「一つだけ確認させて下さい。保先輩の弟を護衛することで、栄太の身に危険が迫ることはないと言えますか」
一瞬
マスター・ヨーダが目を丸くした
まじまじと
俺の顔を見つめていた彼は
ほんの少し目尻を和らげ
人差し指と親指を平行に伸ばして
空間を形作った
はっきり言って
俺には彼が何を言いたいのか
さっぱり分からない
「私はね、人を操る才能に恵まれた娘は校内外に手足とする人間を、確保していると予測している。義人くん、キミは強くなりなさい。人に付け入られる隙を見いだせないほどに」
不意に
マスター・ヨーダの信頼を得る
条件が提示された
勉強とかでなく
仕事上の立場でもなく
栄太と並び立ちたい俺に
望まれているのは
精神的な強さだ
「分かりました。強くなってみせます」
「この程度は、信頼するよ」
・・・・・・もしかして
指の空間分だけ
信用してやるとか言ってんの?
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