幼なじみ 1

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マサピーは サッカー部でいちばんの お調子者で ムードメーカーだ 新チームの レギュラー争いに 緊迫した部室の空気を 笑いで 解そうとしてるのだろう 「ハニー、帰ったら別の場所を握ってあげるよ」 調子を合わせた奏太が 下から 突き上げた拳をぐっと 血管が浮くまで握り込んだ 「いやん、潰さないで」 さっと 股間を両手で覆ったマサピーに 死守しろよー あちこちから 笑い混じりの声がかかってる 「どうした?」 訝しげな奏太の声に ハッとして 膝に置いた手を離した俺を マサピーまでもが 眉を寄せ 覗き込んできていた 「ごめん、大丈夫」 今までだって平気だった さっき ピリッと走った痛みも 大したことない 自分に言い聞かせながら 奏太の手を取り 立ち上がろうとして 踏ん張った右膝に走った激痛に 「イーーー、っ」 脂汗が吹き出る 「義人!?」 何が何だか分からない 痛い とにかく痛い 尻がベンチについた 奏太が 膝を抱える俺を支え 座らせてくれたらしい ありがとう 伝えようとした想いは 言葉にならず 呻き声が漏れただけだった
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