幼なじみ 1

13/17
前へ
/136ページ
次へ
「マサ! ボケッとしてないで保険医呼んで来い!」 「お、おう!」 膝を抱えて座り込み 膝下を叩いて 撫でて 揉み込んでも痛みは治まらない 「大丈夫か? 冷やしたらどうだ、少し違うかも」 弱りきった奏太の声なんて なかなか 聞けるものじゃない ぎゅっと 閉じていた目を開けて 冷たいタオルで 汗を拭ってくれる 奏太を見た 「もう少しの辛抱だ。すぐにマサが保険医を連れて来てくれるぞ」 うん 声を出すとまた 呻いてしまいそうだったから 小さく頷く 襲い来る痛みに じっと座っていられない 頻繁に 態勢を変えて膝を抱える その度に 奏太も移動して 汗を拭ってくれた 少しずつ 収まっていく激痛に ホッと 息を吐き出したとき マサピーが 顧問の木村先生と 部室に駆け込んできた 「膝が腫れてるな。車で病院に連れて行く。お前らは練習に参加しろ」 「分かりました。ですが、駐車場までは付き添います」 言った奏太と 俺も! 譲らないマサピーの 「無理。 登校拒否児童になる」 姫抱きを断固拒否。 「ゆっくりな、ゆっくり」 二人の肩を借りて 車までの距離を移動した
/136ページ

最初のコメントを投稿しよう!

55人が本棚に入れています
本棚に追加