幼なじみ 1

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「今日は特別な」 家の前まで 送ってくれた木村先生の 車から 「ありがとうございました」 降り立つと同時に ガチャン 隣の家の玄関が開いた 「義人くん、 大丈夫なの」 両手を 心持ちあげて ぱたぱたと駆けてくる 真理さんは可愛い 可愛いのに 弱音を吐きたいのを 我慢してるせいかな 真理さんを目にしても 心が浮き立たない 「大したことないよ。成長過程の事故みないなものだから」 幼いころ 見上げていた真理さんの 綺麗な顔を 見下ろして微笑んだ 「本当に?」 疑わしそうな目をした 真理さんは 俺と 車から降りた木村先生を 見比べて 木村先生に視線を据えた 「はい。日常生活をするのに問題はないそうです」 真っ直ぐに 人の目を見つめるのは 栄太と同じ でも、今 栄太の黒目がちの瞳に 映ってるのは 女 「疲れたのか」 え? 木村先生の視線を追えば ぎゅっと 先生のスーツを 握る自分の手があった 「うわ、すみませんっ、いてて」 すげー、バカ 慌てて手を離した勢いで 後ろへ下がり 膝の痛みに呻くなんて 恥ずかしすぎる
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