幼なじみ 2

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まだ見てる 校舎を見上げて立ってる 目を閉じても 感じる強い視線に ざわざわと 全身の皮膚が騒いだとき ふわっと 『好き』 の感情が浮いてストン 胸の奥に着地した そうか 俺は栄太のことが好き なんだ 窓から 吹き込む生温い風が 頬に触れ髪を揺らす 「天気予報あたるかもな、雨降りそう」 湿気の多い日は 膝が 普段より強く痛む でも痛いとか 泣き言を 口にするのは恥ずかしいから 治るまで 誰にもいう気はない でも、良かった 今は降ってなくて 雨に濡れたら 目蓋と睫毛を雨のせいだと 誤魔化し 濡らしてしまいそうだ 栄太のことなら 誰よりも知っている クールと思われがちだけど ただ 面倒臭がってるだけ 特定の女を作らないのも 恋人面されるのが 面倒だから ・・・・・・無理だよなぁ 俺は、栄太を好きで 傍にいたくて 触れていたい 性欲を満たす関係だけで 恋人になれないなら 今の関係を 崩したくない あーあ、結局 何にも 変わらないってことじゃ ねーの 栄太のいるグラウンドから 引きずるように 目線を 横へずらして奏太を見る
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