幼なじみ 2

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「一目惚れ? 栄太が、俺に?」 「ああ。元気いっぱいの声に胸が高鳴り、義人の綺麗な茶色の瞳に心を奪われ、笑顔の可愛さに惚れたんだ」 初めて会ったとき 真理さんのスカートを 握っていた 栄太の小さな手は 『お前、サッカーできるの?』 訊いた俺に 『うん』 栄太が力強く 頷いたことに満足した 俺が 『いいよ。一緒に遊ぼう』 笑うと同時に スカートから離れた あの日を境に 栄太は一度も真理さんの スカートを 掴んでいない 栄太の 小さな手に繋がる先は いつだって 俺だったから 「可愛い。顔が真っ赤だ」 「ううう、うるさい」 笑う栄太の目尻に薄く シワが寄った 整いすぎて 冷たい印象さえ持つ顔が 柔らかく 優しくなる 見慣れた栄太の笑顔に ギュッと 引き絞られた胸から 水が湧き出すように 栄太への 想いが溢れてきて 「俺も好きだ。栄太のこと」 告白せずに いられなくなった 俺に 身を寄せてきた栄太と 二度目の キスをした さっきとは違う 軽く 触れ合うだけじゃない 舌を絡め 互いの吐息を吸い込む キスだった
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