幼なじみ 2

16/22
前へ
/136ページ
次へ
でもでも、奏太には すぐバレそう 登校してすぐ 消しゴムを リフティングしながら 廊下を歩く 奏太の背中に声をかけた 「おーっす」 ポンと 高く蹴り上げた消しゴムを 奏太が手で掴む 振り向いて 俺の顔を目にした奏太は 「お前にやけすぎ」 俺の頬に消しゴムを ぐりぐり 押し付けてきた 「えー? そうかな」 上体を後ろへ反らせば 消しゴムは 頬から外れて宙に浮く ぽんぽん リフティングを再開した 奏太が半分冗談 半分本気の声で言う 「心の声がダダ漏れだぞ。少し引き締めてろ」 ダダ漏れは困る 「分かった」 浮かれた心が落ち着くまで 頬に 手を当てていようか 「ったく、手間のかかる奴」 苦笑した奏太の手が 俺の頭に乗って 髪をくしゃくしゃにしてくる 止めろよ 言いながら笑う 笑った瞬間 びっくりするくらい肩が すとんと落ちた 緊張していた 俺より先に 栄太への恋心に気付いた 奏太なら 俺の気持ちを認めてくれる そう信じていたけど 奏太の 反応を見るまで怖かった
/136ページ

最初のコメントを投稿しよう!

55人が本棚に入れています
本棚に追加