幼なじみ 2

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「ありがとう、奏太」 「礼を言われることなどしてません」 言った奏太に 手櫛で整えた髪を またくしゃくしゃにされた 「いいなあ、義人は」 放課後 サッカーの練習中に 顔面で ボールを受けたマサピーが ポツンと呟く 表情は分からない フェンス寄りの木陰で 手足を伸ばし 鼻から上に冷たいタオルを 乗せているから 「何がいいの?」 膝の痛みは取れない 栄太と同じ 白石高校を目指せる 頭脳もない しかも 『アンタ受験生だから、夜勤の少ない部署に移動させて貰ったのよ』 家に母ちゃんがいる 口を両手で塞ぎ 喘ぎを漏らさないよう 堪えるのに精一杯で 栄太に触れる 余裕のない俺のどこが 良いというのだろう 「奏太が優しい」 ん? 「やっぱさ、義人は華奢で腰もくびれてセクシーだし、脚もほっそりしててムダ毛もないから胸のない女みたいじゃん」 黙って 立ち上がった俺はマサピーの 頭頂側に膝をつき 「だからかなあ、奏太は軽そうな荷物も義人に持たせようとしないだろ。いいな、俺だって奏太に優しくされたいのに」 拳をマサピーの こめかみに押し当てた
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